障子紙

学食15

学食15

学食は可能な限り利用しないように。マナ達がそう言われているのは事実である。特に混雑時に利用しようものならば、学食の運営委員からは労わるようにさり気なく、生徒会からはネチネチと実に嫌みったらしく苦情が伝えられる。これで人権云々と言われても説得力が無い。

もっとも、そんな事を言うのは一部の者に過ぎない……が、その一部が、よりにもよって、学内で大きな力を持っているのが問題だった。

 故に、マナ達が学食を利用する時は、隅で、なおかつ時間帯も混雑時を避けるようにしている。どう見ても獣人であるフランクに至っては、一度しか利用した事がない。

 三時間目の空きコマを利用し、学食の隅の席に座るマナの半径三メートルには、今日も人がいない。フランクはもちろん、今は授業中のジェスとロザリアもいない。

 一人で食べる食事というのは、中々味気ないものだ。吸血鬼といっても、元は人間。心臓のすぐ脇にある、音波によって他者の五感を乱す器官『撹乱器官』を保つ為には、動物なり人間の血が必須なので、一定時間ごとに吸血するのは伝説通りだが、胃や腸もある為、普通に食物を摂って栄養補給しなければならない所が、伝説とは違う点だろう。

また、嗅覚が鋭いのでニンニクの臭いはきつく感じられるが、天敵、というほどのものではない。むしろ、マナにとっては梅干しが大の苦手だ。あの酸っぱさはたまったものではない。鏡に姿は映るし、十字架を見ても握っても大丈夫だ。なんなら聖書を音読して見せても良い。

 ただ、日光はよろしくない。日光は、浴びれば一瞬で灰になる、というほどひどくはないが、オゾン層が減少している影響か、長時間浴びていると皮膚が爛れてしまう。ひょっとしたら、人よりも皮膚ガンになりやすい体質かもしれない。よって、全身をすっぽりと覆った筒のような純白のローブを彼女はいつも着ている。

 また、驚異的な再生力を持っているが、銀で傷付けられた場合に限っては、ひどく再生が遅い。